2024-09-24 10:35

上川氏、邦人の安全確保要請=中国外相「政治問題化回避を」―男児刺殺事件、協議継続へ

 【ニューヨーク時事】米ニューヨークを訪問中の上川陽子外相は23日午後(日本時間24日未明)、中国の王毅共産党政治局員兼外相と国連本部で約1時間会談した。中国広東省深セン市で日本人男児が刺殺された事件に関し、上川氏は事実関係の説明や在留邦人の安全確保を要請。王氏は「偶発的な個別事案」とする中国側の立場を改めて示した上で、政治問題化の回避を訴えた。両外相は当局間の協議継続を確認した。
 上川氏は(1)犯人の動機を含む早期の事実解明と日本側への説明(2)厳正な処罰と再発防止(3)在留邦人の安全確保のための具体的措置(4)根拠のない悪質で反日的なSNS上の投稿の取り締まり―を列挙。「日中両国の交流の障害となっている課題に正面から向き合い、事態の改善に向けて真剣に取り組むこと」を求めた。
 王氏は「今回起きたことは、われわれも目にしたくない偶発的な個別事案であり、法律にのっとり処理していく」と発言。中国外務省によると、日本側に「冷静で理性的」な対応を促し、「政治問題化を避けるべきだ」と求めた。両外相は子どもの安全確保策などについて外交ルートを通じて議論していくことで一致した。 
 東京電力福島第1原発の処理水放出を巡り、日中両政府が合意した日本産水産物の輸入再開についても意見を交わした。上川氏は禁輸措置の早期撤廃に向けて「目に見える進展」を確実に示すよう申し入れた。
 また、8月の中国軍機による九州沖領空侵犯、空母「遼寧」による今月の南西諸島沖接続水域航行に「強い懸念」を表明。中国当局に拘束された邦人の即時解放や東シナ海の日本の排他的経済水域(EEZ)に設置した海上ブイの撤去も求めた。
 日中外相会談は7月のラオス以来で、男児の刺殺事件後は初めて。
[時事通信社]

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