課題解決、戻った馬力=大の里、広がる期待―大相撲秋場所
相手を一気に持っていく強烈な馬力。5月の夏場所で初優勝の原動力となった武器にさらに磨きをかけた大の里が、2度目の賜杯を手にした。
2場所連続優勝なら、大関昇進もあり得ると期待を集めた7月の名古屋場所。得意の右差しを徹底的にマークされ、9勝にとどまった。相手を圧倒して前に出る取り口は鳴りを潜め、「もう一度、しっかり自分の相撲を取りたい」と臨んだ今場所。光ったのが左からのおっつけだ。
師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)は「おっつけは攻撃力も守備力もある。それが両方、生かされている」と自身の最大の武器だった取り口の有効性を説く。攻めを封じるだけでなく、相手の上体を崩して本来の馬力を発揮しやすくなった。
秀ノ山親方(元大関琴奨菊)は「右を警戒される中でいかに攻めるかとなれば、左の使い方(が大事)。しっかり修正してきた」。課題と向き合ってつかんだ新たな攻め手を下支えとし、取り戻した前への力。それを果たした時の強さは、「必勝の形」を早くも確立しつつあるようにも映る。
中卒たたき上げの師匠が新入幕から42場所かけてたどり着いた大関の地位を、わずか5場所という速さで確実にした。同じ石川県出身の大鳴戸親方(元大関出島)が「今場所のような相撲を取っていれば、この先も楽しみ」と話すように、さらに上の番付への期待も広がる。駆け上がる大器が描く成長曲線の到達点は、まだまだ先にある。
[時事通信社]
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