知事パワハラ疑惑、進まぬ解明=証言に食い違いも―兵庫県
兵庫県の斎藤元彦知事が県議会から不信任決議を突き付けられたが、パワハラなど一連の疑惑解明は進んでいない。県議会の調査特別委員会(百条委員会)は、疑惑を告発する文書を作成した職員(7月に死亡)を公益通報者として保護せず、処分した経緯についても斎藤氏を追及したが、関係者の証言に食い違いも目立つ。今後の展開によっては、疑惑がうやむやになる懸念も残る。
斎藤氏はこれまでに2回、百条委の証人尋問を受けた。告発文書には、公用車で出張先を訪れた際、エントランスから20メートルほど離れたところで車を降りて歩かされたとして、出迎えた職員らを怒鳴ったとの記述があった。これに対し、斎藤氏は百条委で「車止めを取り忘れたと思った」などと釈明。日々の言動について「不快な思いをさせたことは反省する」と述べたものの、パワハラをしたとは認めなかった。
物品提供を求める「おねだり」疑惑に関しても、カニをはじめとした県内の特産品を受領したことは認めた。自身のSNSなどで発信していないのではないかとの指摘には「PRすることもあれば、自分自身が家で食べることで、こういうものがあると知るのも大事な仕事。施策に生かされる」と反論。問題はないとの考えを強調した。
一方で、告発者の処分を巡っては、知事と部下の認識の違いが明らかになった。公益通報の調査結果を待ってから処分すべきだとの進言について、斎藤氏は「受けたことはない」と説明。第三者委員会設置を求める声に対しても「協議したというところまでの記憶はない」と語った。
県の対応について「手続きに瑕疵(かし)はない」と語る斎藤氏。しかし、百条委での尋問を通じて、どのような経緯で処分がされたのか疑問点が生じる形となった。不信任により、議会解散や知事失職に至ることが想定され、真相究明が尽くされるか見通せない。
[時事通信社]
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