ロシア型原発建設「幸せに協力」=ハンガリーが独自主張―IAEA総会
【ウィーン時事】ウィーンで開かれている国際原子力機関(IAEA)の年次総会で、欧州連合(EU)を代表して一般討論演説に臨んだハンガリーのシーヤールトー外務貿易相が、自国でロシア企業が進める原発建設について、西側諸国の下請け企業が「幸せに協力している」と独自の主張を展開する一幕があった。加盟国が事前調整した原稿を無視し「平和共存の好例だ」などと自賛した。
ハンガリーは7月から輪番制のEU議長国を務めている。一方、親ロシア姿勢も目立ち、ロシアの侵攻を受けるウクライナに対するEUの軍事支援に反対している。
16日の演説冒頭、シーヤールトー氏は「EUからの指示を全て口頭で伝えることはできない」と宣言。「原子力なしでは地球温暖化と闘えない」などと原発を称賛し、脱原発を実行したドイツへの配慮を明らかに欠いた持論を披露した。
17日にIAEAのサイトで公開されたEU公式声明には、ロシアのウクライナ侵攻やイランの核開発への批判が含まれていたが、シーヤールトー氏は触れなかった。加盟各国はその後の演説で、「EUの公式声明はオンラインで発表されている」(独代表)などと相次いで反論した。
ハンガリーのオルバン首相は7月、EU議長国を引き継いだのに合わせ、独断でロシアのプーチン大統領と会談した。ロシアの孤立化を図るEUの方針に反していたことから、他の加盟国は猛反発し、議長国で開かれるのが慣例のEU会合を閣僚がボイコット。激しい対立がIAEA総会にも飛び火した形だ。
[時事通信社]
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