再審請求、手続き規定乏しく=裁判所裁量で運用―「証拠開示の不備」主張も
再審請求手続きを巡っては、刑事訴訟法で期間などに関する具体的な条文が定められておらず、裁判所の裁量で運用されているのが実情だ。そのため、結論まで長い時間がかかる傾向にあるほか、裁判官によって検察側の証拠開示に対する姿勢が異なる問題もあると日弁連は主張している。
日弁連によると、刑事訴訟法で再審に関する条文は19にとどまり、手続きについては「必要があるときは、事実の取り調べをさせることができる」としか記されていない。再審請求中に申立人が死亡すれば打ち切りとなるが、期限の規定がないため、裁判所が判断や結論に長い時間をかけても法律上問題とならない。
再審無罪が確定した「東京電力女性社員殺害事件」(東京都)では、検察側の証拠開示によって有罪の根拠と矛盾する物証が見つかり、再審開始を後押しした。大津地裁と大阪高裁で再審開始が認められ、最高裁で審理中の「日野町事件」(滋賀県)でも、捜査段階の写真のネガなど、開示された証拠によって確定判決に疑問が生じたとされる。
だが、証拠開示の規定はなく、検察に対する勧告などの働き掛けをどの程度行うかも裁判所の判断に委ねられている。
新証拠の扱いを巡っても、通常の裁判では弁護側と検察側の評価が異なる場合、証人尋問を行った上で採否が決まることが多いが、再審請求では尋問が実施されないことも少なくないという。
日弁連は再審請求審での証拠開示の制度化や検察による不服申し立ての禁止、手続きの明確化などを訴えている。
[時事通信社]
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