「貧困・物価高、抜本解決を」=能登被災者、諦めの声も―自民総裁選・国民訴え
岸田文雄首相の不出馬表明から1カ月。自民党総裁選が12日告示され、過去最多の9人が名乗りを上げた。「貧困問題の抜本的解決を」「復興は期待できない」。国民からはさまざまな声が出た。
新型コロナ下に運営を始めた名古屋市東区の「こども食堂Qchan」。平日は毎晩20~30人が集まるが、藤江由美子さん(55)は「物価高は切実」と嘆く。鶏の唐揚げをちくわ揚げに替え、ハンバーグをおからでかさ増しして対応する。
最近のコメ不足は、パスタやそうめんでしのいだ。藤江さんは「そもそも子ども食堂が要らない国にして」と話し、問題の抜本的な解決を求めた。
物価高への不満は、高齢者が多く集まる東京・巣鴨の商店街でも。東京都東村山市の無職男性(77)は、年金で足りない分は蓄えを切り崩す。「蓄えがなくなったら生活ができない。物価高を抑制して」と話した。
商店街では、マイナンバーカードと一体化したマイナ保険証への意見も出た。移行まで3カ月を切ったが、手続きがまだという板橋区の無職女性(72)は「マイナンバーのひも付けミスによる情報漏えいが不安。ただ、移行自体は決まっており、誰が新総裁になっても覆らないのでは」と諦める。
能登半島地震は発生から8カ月超となったが、復興の遅さに批判の声も強い。石川県輪島市の仮設住宅に母親と暮らす男性(50)は「岸田首相にはがっかりしたが、次の首相にも期待できない」と話す。市内は今も、被災家屋のがれきがはみ出た道路が多いが、男性は「国や県がしっかり動かないからだ」と吐き捨てるように言った。
米兵による性暴力が相次ぐ沖縄県。琉球大の新城竜一教授(62)は「事件が起きた際、国は住民にいち早く知らせるべきだ」と指摘。「次のリーダーには、どの国にも毅然(きぜん)と対応してほしい」と求めた。性暴力への抗議デモを主催する上野さやかさん(44)は「政府はやっているふりだけだ。問題に真摯(しんし)に向き合って」と語った。
1996年に法制審議会(法相の諮問機関)が導入を提言した「選択的夫婦別姓制度」。総裁選では対応が争点にも上がるが、一般社団法人「あすには」(東京都新宿区)の井田奈穂代表理事(48)は「導入なくしてジェンダー平等や女性活躍の夜明けは来ない」と強調。「覚悟を持った人を期待したい」と話した。
[時事通信社]
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