自民裏金、再調査機運乏しく=総裁選候補、支持離れ懸念か
自民党派閥の裏金事件を巡る初の判決公判が10日、東京地裁であり、二階派の元会計責任者に有罪が言い渡された。国民の信頼回復に向けて党の自浄能力が改めて問われる局面だが、12日告示の総裁選の候補者は真相究明に及び腰な姿勢が目立つ。派閥単位の支持取りまとめの動きが見え隠れする中、支持離れを懸念しているとみられる。
自民は2月、事件の舞台となった安倍、二階両派の所属議員らからの聞き取り調査の結果を公表。その後、衆参両院の政治倫理審査会で派閥幹部らへの質疑が行われたが、いずれを通じても、捻出した資金の使途や裏金づくりが始まった経緯は明らかにならず、実態解明にはほど遠かった。
しかし、野党などが求める再調査に総裁選候補の多くは「党の調査には一定の限界がある」(小林鷹之前経済安全保障担当相)と否定的だ。河野太郎デジタル相はインタビューで「党は強制捜査もできない」と指摘。林芳正官房長官は10日の記者会見で「第三者に入っていただき調査した」と強調した。
ある候補の出馬表明の記者会見には、政治資金収支報告書への不記載があった議員の姿があった。解散を決めたとはいえ安倍派は党内最大派閥。厳しい対応に言及するのは避けたいのが候補者心理だ。安倍派の一部からは「対応次第では応援できない」と露骨なけん制の声も漏れる。
事件の関係議員から再聴取する意向を示した石破茂元幹事長は10日の会見で「国民はまだ納得していない。説明責任を果たしていかなければならない」と強調したが、党内の危機感は薄いのが実態だ。
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