18歳小田、初志貫徹=重責自覚「かっこよく」―車いすテニス〔パラリンピック〕
パリ・パラリンピックの車いすテニス男子シングルス決勝で、18歳の小田凱人(東海理化)が劇的な逆転勝ちを収め、この種目で史上最年少の金メダリストとなった。
大会を通じてかなえたかったのは、競技を取り巻く現状に変化をもたらすこと。多くの人々に試合を見てもらうためにCM出演などメディア露出を増やし、耳目を集める努力を惜しまなかった。
四大大会の車いす部門は決勝の舞台がセンターコートになることは少なく、不服に感じたこともあった。全仏オープンと同じローランギャロス、そのセンターコートで行われた今大会決勝。客層は異なるが、9割近くの座席が埋まり、大きな声援が送られた。「シャトリエ(センターコート)でやってもお客さんが入ることは証明できたと思うし、それに見合う試合もできた」。何かが変わることを期待する。
「車いすテニスはかっこいい」。観客にこう認識されるプレーを貫くことが信念だ。7日の決勝では、華麗なショットを狙って出たミスもある。それが勝敗を分けても戦い方は変えない。「変えたところで僕の次の手はない。どれだけ自分で自分のプレーを大きくできるかの戦い」と覚悟を明かした。
次はどんな夢をかなえるのか。パラリンピックと四大大会を全て制する「生涯ゴールデンスラム」に早くも王手。来年の全米オープンで勝てば、10代で偉業を達成する。周囲の期待はさらに膨らむが、「自分をどう高めていくか、逆にここからの方が難しい」と冷静だ。
金メダル獲得で競技への注目度が高まっても、一過性のブームで終わらせるつもりはない。「継続的に、車いすテニスを応援してもらえるようにすることが僕の役目」。どこまでも頼もしい。 (時事)
[時事通信社]
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