2024-09-08 19:48社会

「チーム道下」背負い銅=苦難乗り越え、3大会連続メダル―マラソン・道下選手〔パラリンピック〕

パリパラリンピックに出場したマラソンの道下美里選手(左)と伴走する樋口敬洋さん(樋口さん提供)

 女子マラソン(視覚障害T12)でパラリンピック東京大会金メダリストの道下美里選手(47)=三井住友海上=は、100人近くいる自身のサポーター「チーム道下」に支えられ、銅メダルを勝ち取った。連覇こそ逃したが、「障害のある人のために発信力を上げたい」との思いを胸に苦難を乗り越え、3大会連続のメダルに輝いた。
 中学生の時に病気で右目の視力を失い、25歳の時に左目にも障害を負った。マラソンはダイエット目的で始めたが、めきめきと実力を伸ばし、リオデジャネイロ大会で銀メダル、東京大会では金メダルを獲得した。
 この3年間は度重なる故障に苦しめられた。道下選手が普段練習している福岡市で伴走者を務める樋口敬洋さん(48)は「いい練習ができていたのに、シーズンに入ると(故障で)走れなくなるのを繰り返し、もどかしかったはず」と推し量る。
 それでも気持ちを切り替え、故障を乗り越えるための筋トレなどを続けてきた。「決して遅くなっているわけではない。ランナーにとって走れないのはつらいが、メンタルも年々強くなっている」という。
 視覚障害のあるランナーは1人では走れない。道下さんには地元で伴走するランナーが10人ほど、送迎などを含めるとサポーターが計100人ほどいるという。「笑顔と誰に対しても優しい人柄で、みんなに愛されている」。2018年6月には、当時皇太子だった天皇陛下が赤坂御用地(港区)内で道下さんの伴走をされ、話題になった。
 「メダルを取って発信力を上げ、障害のある人がどんなことに困っているか伝えたい」と常々話していたという道下選手。「多くの人に愛され、活躍している彼女の姿を多くの人に見てほしい」という樋口さんの願いに、懸命の走りで応えた。 
[時事通信社]

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