「やり切ったと思える大会を」=コーチの夫と金メダル獲得―柔道・広瀬選手〔パラリンピック〕
「やり切ったと思って大会を終えてほしい」。柔道女子57キロ級(弱視)の広瀬順子選手(33)=SMBC日興証券=は、夫でコーチの悠さん(45)に支えられ、再びパラリンピックの舞台に立った。堂々の金メダルを獲得し、前回東京大会で5位に終わったリベンジを果たした。
山口市出身。11歳で柔道を始めたが、19歳の時に膠原(こうげん)病の一種の難病で目を患った。2013年に同じ視覚障害柔道の試合で悠さんと出会い、15年に結婚。リオデジャネイロ、東京大会には夫婦そろって出場した。
悠さんはその後のクラス分け基準の変更により、国際大会に出場できなくなった。それでも「自分はやり切ったと思っているので悔いはない」と話す。
広瀬選手はリオで銅メダルを獲得したが、東京では3位決定戦で敗退。悔しさをバネに、パリでの再挑戦を目指してきた。
東京大会後、それまで得意だった技が急にかからなくなったことがあった。原因は分からなかったが、試行錯誤するうちに新たな得意技を見つけ、結果的には実力の底上げにつながったという。「年々強くなっているのを感じる。技がなくなったことを苦労と思わないくらいに上達した」と悠さんは驚く。
「プレッシャーを感じるタイプ」という広瀬選手に対し、「メダルを取れなくてもいい。負けてもいいよ」と声を掛けてきた。「『ここまでやり切った』という気持ちになって、自分が納得する柔道をしてほしい」というのが悠さんの願いだ。
[時事通信社]
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