2024-09-04 20:34社会

種目復活、悲願の初出場=震災乗り越え大舞台に―パラ砲丸投げ・斎藤選手〔パラリンピック〕

女子砲丸投げ(上肢障害F46)決勝で2回目の投てきをする斎藤由希子=4日、サンドニ

 女子砲丸投げ(上肢障害F46)の斎藤由希子選手(31)=SMBC日興証券=は元世界記録保持者だが、自身の障害のクラスがパラリンピックの対象から外れたため、長く出場の機会がなかった。4大会ぶりに自身のクラスで種目が復活し、悲願の初出場を遂げたが、惜しくもメダルには届かず4位となった。
 生まれつき左腕の肘から先がなかったが、中学の部活動で砲丸投げと出合い、陸上の強豪・仙台大に進学。ずっと健常者と一緒に練習してきた。元陸上部監督の藤井邦夫さん(75)は「みんなと同じトレーニングができず、苦労したこともあっただろうが、とにかく明るく、努力家だった」と振り返る。
 大学時代はパラだけでなく健常者の大会にも出場。東北学生陸上競技対校選手権で優勝したこともある。
 パラ陸上の世界大会にも出場していたが、2012年のロンドン大会から斎藤選手のクラスはパラリンピックの種目から外れ、強さを披露することができなかった。出場機会を求めてやり投げに転向したこともあったが、今回ついに種目が復活。藤井さんも「良かった」と胸をなで下ろす。
 宮城県気仙沼市に住んでいた高校2年の時、東日本大震災で被災した。自宅が流され、競技ウエアや靴は支援物資に支えられていたという。避難所での生活も経験し、「当時同じ思いをした人に自分の姿を見せたい」と願っていたが、堂々と戦う姿を見せた。 
[時事通信社]

パラ女子砲丸投げ(上肢障害F46)の斎藤由希子選手(中央)と元監督の藤井邦夫さん(右)=2014年9月(仙台大提供)

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