救難飛行艇、生産継続へ=コストカットで調達費計上―海自
海上自衛隊が運用する水陸両用の救難飛行艇「US2」の生産が継続される見通しとなった。高さ3メートルの荒波の中でも着水可能な世界唯一の機体だが、製造コストの高騰などで新規調達が先送りされ、存続が危ぶまれていた。防衛省は2025年度予算概算要求に1機分の取得費約219億円を計上。関係者からは安堵(あんど)の声が聞かれた。
海面から発着できるUS2は、滑走路がない離島や航行中の船舶からの救急患者搬送のほか、海上の捜索救助が主な任務。最高時速約580キロ、航続距離は最長約4700キロで、ヘリコプターよりも長距離を、船より格段に速く移動できるのが強みだ。硫黄島などの海自拠点で補給すれば日本の領海と排他的経済水域(EEZ)を全てカバーでき、海洋国家日本には欠かせない存在といえる。
製造元は新明和工業(本社兵庫県宝塚市)で、海自岩国航空基地(山口県)に6機配備されている。老朽化した機体の更新が迫っていたが、24年度予算で調達費計上が見送られたため、生産打ち切りとの観測も出ていた。
最大の難点は高額な取得費だ。海自向けのみの少数生産のため、直近の価格は最新戦闘機よりも高い1機200億円超に。量産化の一助として期待されたインドなどへの海外輸出も行き詰まっていた。関係者によると、部品などの納入企業の撤退や円安によるコスト増で、価格がさらに数倍に膨らむ見込みとなり計上が見送られたという。
そこで、今年8月に退役した初号機から部品を再利用するなどコストカットを徹底。価格を維持できる見通しとなり、生産継続となった。防衛省幹部は「世界唯一の機体だけに、途絶えれば技術も失われてしまう」と継続を歓迎している。
[時事通信社]
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