連覇逃すも、銅メダル獲得=競技通じ、見つけた居場所―パラ競泳・山口選手〔パラリンピック〕
「世界記録を更新して金メダルを取る」。パラリンピック男子100メートル平泳ぎ(知的障害)の前回覇者、山口尚秀選手(23)=四国ガス=は、恩師に誓っていた連覇こそならなかったが、見事銅メダルに輝いた。
愛媛県今治市出身。保育園に通っていた時、自閉症と診断された。幼い頃から祖父母に連れられてプールに通っていたが、初めて大きな大会に出場したのは高校生の時だ。現在コーチを務める柿崎彰一さん(59)に出会ったのは5年前。「入った当初は練習についていくのも大変。練習が好きじゃないので、途中でやめることもあった」と柿崎さんは振り返る。
前回東京大会では世界記録を更新して頂点に立ったが、その後は決して順調ではなかった。「終わってからしばらくはやり切った感があって、どうしても練習に身が入らなかった」(柿崎さん)
しかし、その年の冬に他のパラ競泳の代表と顔を合わせてから、練習への向き合い方が変わった。「『自分の居場所はここだから、頑張らないと』と思ったのでは」と変化の理由を推し量る。
その結果、昨年には再び世界記録を更新した山口選手。しかし感情のコントロールが難しく、気分が乗らずに練習が進まなかったことも。普段は厳しいことを言わないようにしているという柿崎さんも、「今のままじゃやられるよ」と本番に向けてハッパを掛けた。
他にも教え子がいるためパリには同行できなかったが、「やるべきことをやっていれば結果は付いてくる」。山口選手の晴れ舞台を、日本から見守った。
[時事通信社]
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