「憧れの自衛隊」へ政策総動員=採用増へあの手この手―防衛省
自衛官のなり手不足の深刻化を受け、防衛省は2025年度予算の概算要求に合わせ、人的基盤の抜本強化策をまとめた。「憧れの自衛隊」実現を掲げ、隊員の勤務環境や処遇の改善を中心に、業務の省人化や装備の無人化など政策を総動員する。ただ、不祥事噴出で自衛隊の印象は悪化しており、どこまで効果を発揮するかは不透明だ。
木原稔防衛相は8月30日の会議で「募集環境は厳しい状況に直面している」と述べ、対策を着実に進める考えを強調した。
23年度の自衛官採用人数は陸海空3自衛隊で9959人で、達成率は過去最低の51%にとどまった。中途退職は6258人に上り、募集難だったバブル期の1992年度以来の多さとなった。
防衛省がまとめた対策は若者に忌避感を持たれないよう生活・勤務環境を改善するのが柱だ。具体的には長らく集団生活が基本だった居住環境について、プライバシーを保てる個室化を推進。艦艇でもスマートフォンが使えるよう低軌道衛星通信サービスを用いてネット環境を確保する。
待遇面の魅力化にも努める。採用状況が最も苦しい任期制の「自衛官候補生」は、23年度に30%しか集まらなかった。25年度からは3カ月間の訓練終了後に支給する「任用一時金」を22万1000円から50万円に大幅に増額。「月21.5時間分」と固定された超過勤務手当も外国の制度などを参考に改善する方向で検討を進める。
一方、少子高齢化を踏まえ、省人化・無人化も促進する。最新の物流基地のような自動化技術を用いた倉庫を試験的に導入。陸上自衛隊沖縄訓練場(沖縄県)の補給拠点構築に合わせて整備し、省人化の効果などを見極める計画だ。
人工知能(AI)を使ったシステムも積極採用し、物品補充の需給予測やサイバー戦の意思決定迅速化に活用する。
防衛省・自衛隊では7月、「特定秘密」の不適切運用や海上自衛隊員の手当不正受給、パワハラなどで218人が処分された。海自潜水艦修理に絡む接待疑惑の特別防衛監察も進行中だ。防衛省幹部は「魅力向上をアピールしたい」と意気込みつつ、「世間はそういう空気ではないかもしれない」と不安ものぞかせた。
[時事通信社]
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