2024-08-29 18:16政治

最低賃金、全国平均1055円=人手確保へ過去最大51円増―徳島、異例の84円引き上げ

全国の最低賃金

 2024年度の都道府県別最低賃金が29日出そろい、厚生労働省が発表した時給の全国平均は前年度比51円増の1055円だった。引き上げ額は過去最大。国が示した「目安」の50円を27県で上回り、徳島は84円増の980円と、異例の大幅引き上げを決めた。今年度は深刻な物価高や人手不足、今春闘の歴史的な賃上げ結果を背景に、最低賃金も大幅に増額。全国で時給950円を上回り、1000円超えは16都道府県に倍増した。新たな最低賃金は10月1日以降、順次適用される。
 国の審議会は地域の経済情勢に応じ、全国をA~Cの3地域に分けて引き上げの目安額を毎年示す。今年は3地域とも50円を提示した。
 しかし、実際の引き上げ額は、A地域に比べて賃金水準の低いB、C地域を中心に、目安額を上回る例が相次いだ。徳島に次いで引き上げ額が大きいのは岩手と愛媛の59円。これに、島根の58円、鳥取の57円が続いた。
 最低賃金が全国で最も高い東京は1163円で、最も低い秋田は951円だった。格差は212円と、前年度の220円から8円縮小した。 
 国や都道府県の審議会で労働者側の代表を務めた連合は、地域間の賃金格差の是正に向け、今後2年程度で「すべての都道府県で1000円」を目標に掲げている。来年も今年と同水準の引き上げなら、実現する可能性が高い。
 ただ、海外に比べて日本の最低賃金はなお低水準だ。為替の影響で単純比較はできないが、独立行政法人の労働政策研究・研修機構(東京)によると、今年1月時点の最低賃金はドイツが2000円弱、オーストラリアは約2280円、韓国は約1070円。過去5年間の伸び率もドイツが3割を超えるなどいずれも日本を上回った。

最新ニュース

写真特集

最新動画