「セブン買収」に衝撃=加コンビニ大手が提案―狙いは米国事業か
セブン&アイ・ホールディングスがカナダのコンビニエンスストア大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けたことに、業界の内外で衝撃が広がっている。提案の詳細は不明だが、時価総額が5兆円を超えるセブン&アイを完全買収するなら、外資による日本企業の買収として過去最大規模。狙いはセブン&アイが店舗数トップの米国コンビニ事業との見方が浮上し、協議の行方に注目が集まる。
「あんな優良企業でさえ、狙われる時代が来たのか」。セブン&アイが今月19日、アリマンタシォンに買収を提案されたと発表すると、市場関係者は驚きを隠せなかった。提案が届いたのは公表の「数週間前」で、セブン&アイは独立社外取締役による特別委員会を設置。提案内容の精査を始めた。
アリマンタシォンはカナダや米国、欧州など約30カ国・地域で、ガソリンスタンド併設のコンビニを中心に約1万7000店舗を展開する。企業の合併・買収(M&A)を繰り返して成長を遂げ、2024年4月期の売上高は約692億ドル(約10兆円)に達した。
これに対し、セブン&アイの24年2月期の売上高は約11兆4700億円。店舗数もアリマンタシォンを上回るものの、株価は見劣りし、時価総額は同社に大きく水をあけられている。総合スーパー、イトーヨーカ堂の店舗閉鎖や人員削減に踏み切ったが、業績改善には結び付いていない。株価の「割安感」が買収提案の引き金になったとも指摘される。
アリマンタシォンは20年にも水面下でセブン&アイに買収を持ち掛けたが、新型コロナの感染拡大により、交渉は立ち消えになった。関係者によると当時、同社が特に関心を示していたのは米国事業。その後、セブン&アイは米コンビニ「スピードウェイ」の買収で店舗網をさらに広げており、今回の狙いも同じではないかとみられている。
買収は経済安全保障にも関わる。セブン&アイは、外資による日本企業への出資を規制する外為法の対象。政府の事前審査で安全を損なうと判断されれば、買収中止を命じられることもある。異例の大型買収案件の交渉は長期化が避けられそうにない。
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