2024-08-27 05:04社会

琥珀から新種ハチの化石=体長0.4ミリ―福島県立博物館など

福島県いわき市で発掘され、新種と判明した「チサトムカシホソハネコバチ」のオスの化石(同県立博物館提供)

 福島県いわき市にある約8800万~8630万年前(白亜紀後期)の地層から、琥珀(こはく)に入った新種のハチの化石が発見された。現代の昆虫で世界最小級となる「ホソハネコバチ」の仲間で、体長0.4ミリほど。雌雄1体ずつがほぼ完全な形で残っており、当時の昆虫の生態を知る上で重要な資料という。福島県立博物館などの共同研究チームが7月、日本古生物学会の国際学術誌で発表した。
 化石が見つかったのは、日本有数の琥珀の産地で、恐竜など多くの古代生物の化石が発見されている「双葉層群」の地層。地元の化石愛好家鈴木千里さん(75)が20年以上前に掘り出したが、学術的な分析は進んでいなかった。
 研究チームは鈴木さんから寄贈を受け、1年ほどかけて琥珀を分析。これまでに世界で10種見つかったムカシホソハネコバチの化石などと比較したところ、頭部や羽などに他にない特徴が見つかったため新種と特定した。鈴木さんにちなみ、「チサトムカシホソハネコバチ」と名付けた。
 いわき市内の製麺所で会長を務める鈴木さんは、約60年間発掘を続けており、自身の名が付く新種は今回で3件目。「大変光栄だ。活動を支えてくれた家族に感謝している」と喜ぶ。
 研究チームの猪瀬弘瑛・県立博物館主任学芸員は「付近の地層から、当時としては珍しい花を咲かせる植物の化石も見つかっている。今回の発見が、現在まで続く植物と昆虫との共生関係の起源の解明につながれば」と期待する。 
[時事通信社]

福島県いわき市で発掘され、新種と判明した「チサトムカシホソハネコバチ」のメスの化石(同県立博物館提供)

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