ハリス氏、中間層減税を前面に=トランプ氏は製造業保護―米大統領選
【ワシントン時事】11月の米大統領選で、民主党候補のハリス副大統領は、乳児がいる世帯への児童税額控除の大幅拡充など中間層を対象とする減税を前面に掲げた。一方で、法人税率を21%から28%に引き上げると提案。大企業に厳しい内容も目立つ。共和党候補のトランプ前大統領は、追加関税による製造業保護や法人減税を唱え、企業活動活性化で経済成長を目指す。
ハリス氏は、乳児を抱える世帯への6000ドル(約87万円)の児童税額控除や、労働者世帯への減税など、「1億人以上が恩恵を受ける中間層への減税を実施する」と訴える。新築住宅の建設促進、住宅取得時の平均2万5000ドルの頭金支援も打ち出した。英調査会社は「家計支援の恩恵は大きい」と指摘。任期中に国内総生産(GDP)を0.8%程度押し上げると試算する。
ただ、インフレ対策として提唱した食品価格のつり上げを禁じる法案に対する批判は少なくない。米食品業界は、人件費やエネルギー価格の上昇などによる値上げと、価格つり上げを混同するのは「不正確で無責任だ」と猛反発している。
これに対し、トランプ氏が掲げるのは「米国第一」。対中関税の大幅引き上げや、輸入品に10~20%の関税を一律に課す新法制定により、米製造業を保護。中国企業などの工場がメキシコで増えつつあることを踏まえ、同国製自動車にも高関税を課し、「雇用を取り戻す」と主張する。
石油や天然ガスの生産を拡大し、ガソリンなどエネルギー価格の引き下げにも意欲を示す。気候変動対策は「緑の新たな詐欺」と一蹴し、バイデン政権の電気自動車(EV)推進は撤回すると明言している。
米連邦準備制度理事会(FRB)に対するスタンスでは、ハリス氏は「決して干渉しない」と述べ、独立性を重視。トランプ氏は、金融政策に「大統領が意見するべきだ」と話し、一定の関与を求めている。
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