交通遺児ら、2割ヤングケアラー=相談経験なしは7割超―育英会初調査
交通事故で保護者が亡くなったり、重い後遺障害を負ったりして就学が困難になった学生の15.8%が家族の世話などを日常的に行うヤングケアラーであることが、交通遺児育英会(東京都千代田区)の調査で分かった。このうち7割超が周囲への相談経験がなく、同会担当者は「自治体と連携して支援していきたい」と話している。
同会のヤングケアラーに関する調査は初めてで、3月にインターネット上で実施された。交通事故で保護者が死亡、または後遺障害を負うなどして同会奨学金を2023年度に利用した高校生や大学生など830人が対象で、366人から回答を得た。
アンケートでは、「世話をする家族がいるか」との質問には15.8%が「いる(いた)」と回答。高校生は16.7%、大学・短大生以上は15.9%だった。
世話の対象は「父親」が最多の36.2%で、「母親」(29.3%)が続いた。世話の内容は、外出の付き添いや家事などが多かった。頻度を聞くと、「ほぼ毎日する」と回答した人は全体の36.2%で、高校生が64.7%、大学・短大生以上は24.4%だった。
友人や行政などへの相談経験を聞くと、7割超が「ない」と回答した。理由を尋ねると「家族のことのため話しにくい」「相談しても状況が変わるとは思わない」などが挙げられた。
同会の土肥寿員理事長は「事故によって保護者が障害を抱えた場合、子どもがヤングケアラーにならざるを得ないこともある。自治体と連携し、都内だけでなく地方に住む学生にも支援が行き渡るようにしていきたい」と話している。
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