柏崎刈羽、再稼働へ前進=廃炉判断前倒し、市長が容認姿勢―地元同意なお課題・東電
東京電力ホールディングス(HD)の柏崎刈羽原発(新潟県)が、再稼働に向けてまた一歩前進した。小早川智明社長が22日、桜井雅浩柏崎市長と面会し、廃炉判断の前倒しを表明。桜井市長は「(再稼働の)要請に応えられる段階に至った」と述べ、容認姿勢を示した。ただ、原発災害への懸念や過去の不祥事への不信は依然根強く、県を含めた地元同意が完全に得られるかは不透明だ。
小早川社長は同日、柏崎市役所を訪ね、同原発1~5号機の一部の廃炉判断について、6、7号機の再稼働後5年以内としていた期限を2年以内に短縮すると正式に伝えた。準備が先行する7号機の再稼働が見通せる状況になれば、廃炉を含めた電源構成の検討状況を示すとも説明した。
地元の懸念が強い事故リスクなどの軽減につながる廃炉の方針をより具体化し、再稼働への地ならしを進めたい思惑がある。
小早川社長は会談後、「現時点でどの基を廃炉にできるかはまだ決められていない」と述べたが、桜井市長は「誠実な回答がなされた」と評価。その上で、「再稼働できるかどうかは新潟県(の判断)にかかっている」と話した。
2011年の福島第1原発事故を受けて停止した柏崎刈羽原発。テロ対策の不備が相次ぎ、21年に原子力規制委員会から事実上の運転禁止命令を受けたが、昨年12月に解除された。7号機は今年6月の安全確認検査で「お墨付き」も得た。
東電HDは、原発1基が稼働すれば約1000億円の収益改善につながると試算。原発事故に伴う廃炉や賠償の費用の捻出に不可欠とみている。国も電力の安定供給に向け再稼働を後押しし、避難路の整備などに取り組む方針を示す。
一方、新潟県の花角英世知事は21日の記者会見で、再稼働については「国や事業者がやってきたことを(県民に)きちんと理解してもらうことが大前提になる」と指摘した。過去には県民に信を問うため、再稼働の是非を争点に知事選を行う可能性にも言及しており、ハードルはなお高い。
[時事通信社]
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