短観で賃金動向把握へ=調査項目に追加検討―日銀
日銀が企業の賃上げの動きを把握するため、全国企業短期経済観測調査(短観)に賃金関連の項目の追加を検討していることが22日、分かった。幅広い企業の賃金動向をより迅速、的確に分析し、金融政策の決定に反映させるのが狙い。今後、対象企業を絞った試験的な調査や意見聴取などを実施した上で詳細を決定する。
短観は、日銀が企業の景況感や経済状況を把握するために行うアンケート調査。3カ月に1回、約1万社を対象に実施している。景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と回答した割合を差し引いた業況判断指数(DI)は景気動向を捉える重要指標となっている。
日銀は、基調的な物価上昇率が目標の2%程度で安定的に推移するには、賃金と物価がともに上昇する「好循環」の実現が不可欠と判断している。賃金動向の分析には連合が集計する春闘の賃上げ率のほか、厚生労働省が公表する毎月勤労統計調査などを活用してきたが、同調査は振れが大きいこともあり、短観で賃上げの動きを正確に把握したい考えだ。
日銀はこのほか、回答者の負担を減らすため、短観の他の調査項目の簡素化なども検討する。
連合が発表した2024年春闘の賃上げ率は最終的に平均で前年を1.52ポイント上回る5.10%と、33年ぶりの5%超えを達成した。日銀は今年3月にマイナス金利政策を解除、7月には0.25%程度への追加利上げを決定した。再利上げを判断する上では、賃上げが来年以降も続くかが鍵を握る。
[時事通信社]
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