中絶・移民で対立鮮明に=民主、共和公約出そろう―米大統領選
【シカゴ時事】11月の米大統領選に向け、民主、共和両党の政権公約となる政策綱領が出そろった。民主党が女性の人工妊娠中絶の権利回復を前面に打ち出したのに対し、共和党は不法移民の強制送還など移民対策で攻勢を強め、対立が鮮明となった。
共和党の綱領はトランプ前大統領の主張が強く反映された。しかし、民主党の綱領はバイデン大統領の撤退表明前にまとめられたため、ハリス副大統領のカラーは乏しい。
中絶の憲法上の権利を否定した2022年の連邦最高裁判決を受け、民主党は綱領で「中絶を憲法上の権利として法制化し、生殖に関する権利を回復する」と明記した。これに対し、共和党は「各州には(中絶禁止の)法律を可決する自由がある」と主張したが、妊娠後期の中絶反対を主張するだけにとどめた。
一方、移民対策では共和党が「国境を封鎖し、移民の侵略を阻止する」と掲げ、「史上最大の不法移民の強制送還作戦を実行する」とも訴えた。民主党は「国境警備の人員を増員する」と述べ、「合法的な移民を拡大し、不法移民を阻止する」と強調した。
経済政策でも違いが目立った。富裕層増税を求める民主党に対し、共和党は富裕層の恩恵も大きい大型減税の恒久化を訴えた。また、民主党がクリーンエネルギーへの投資を盛り込む一方、共和党は化石燃料の生産力増強を掲げた。
外交では、両党とも対中国の強硬姿勢では一致。民主党は「不公正な貿易慣行に反撃する」と指摘し、共和党は中国の最恵国待遇の撤回などを明記した。一方、民主党はロシアの侵攻を受けるウクライナへの支援継続を盛り込んだが、共和党は言及しなかった。
[時事通信社]
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