「11月衆院選」の見方広がる=自民、新総裁「鮮度」に懸念
自民党総裁選の投開票が9月27日に決まったことで、早期解散が取り沙汰される衆院選の日程に注目が集まる。新総裁は召集された臨時国会で首相指名選挙や組閣などを行い、国会審議にも応じる必要があるため、衆院解散までには一定期間を要する。ただ、総裁選から間を置けば、自民が期待する「選挙の顔」としての「鮮度」が落ちる可能性もある。新総裁は世論の動向を見極めて判断することになる。
「新しく総裁になり、首相になった方が判断する。それに尽きる」。森山裕総務会長は20日の記者会見で解散時期についてこう述べるにとどめたが、党内は「間髪を入れず解散すべきだ」との声が広がる。
「ポスト岸田」候補の石破茂元幹事長も19日のBS番組で、衆院選日程について「10月15日公示、27日投開票」の可能性も「あると思う」と語った。
10月27日は参院岩手選挙区補欠選挙の投開票日。補選は秘書給与詐取事件で自民を離党した議員の辞職に伴うものだ。自民内には、「不戦敗」論も浮上する補選に出はなをくじかれるより、衆院選をかぶせることで、補選の影響を回避する思惑がある。
ただ、総裁選は当初有力だった「9月20日投開票」から1週間ずれ込んだ結果、10月以降の日程は非常に窮屈となる。
新総裁は選出後直ちに人事に臨むことになるが、「派閥解消」により、組閣人事は各派の推薦に頼ることはできず、副大臣・政務官の人選も含め作業は難航が予想される。
臨時国会の審議を巡る野党との協議も見通せない。岸田文雄首相は3年前の政権発足後、所信表明演説と衆参両院での代表質問を行った直後に解散した。立憲民主党の岡田克也幹事長は20日の記者会見で、代表質問に加え「最低限、予算委員会はやってほしい」と求めた。
野党は新総裁の派閥裏金事件への対応次第では「臨時国会は前に進まない」(立民の安住淳国対委員長)と強くけん制する。野党との日程協議次第で「27日投開票」は厳しくなる。
11月に入ると、第1日曜日の3日は連休の谷間で「投票率低下が狙い」との批判を浴びかねない。17日には首相が例年出席する国際会議が見込まれており、自民国対筋は「与野党の都合を考えれば11月10日投開票が最有力だろう」との見方を示す。
かつて麻生政権は発足直後の解散を見送ったことで衆院議員任期満了間際の総選挙に追い込まれ、下野を余儀なくされた。今回も衆院選がずれ込むと、「刷新」イメージを保てるかどうかは不透明だ。政府関係者は「歯車が一つ狂えば、来年の任期満了選挙もあり得る」と話す。
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