サイバー犯罪初動捜査、1.6倍に増員=全道府県から派遣受け入れ―照会一元化、年間数千件・警視庁
インターネットバンキングによる不正送金などのサイバー犯罪が増加する中、警視庁は口座や違法情報発信元の特定などの初動捜査に当たる「協働捜査班」の捜査員を、昨年度の約1.6倍に拡充したことが19日、同庁への取材で分かった。全道府県警から捜査員を受け入れて捜査の迅速化を図るとともに、ノウハウの共有に努める。
捜査班は全国のサイバー犯罪を巡って金融機関やプロバイダーに照会し、不正送金先口座を特定したり、児童ポルノや薬物売買など違法情報の発信者を調べたりする。その後、容疑者摘発に向け、捜査を道府県警に引き継ぐ。
捜査班は警視庁サイバー犯罪対策課の幹部が指揮を執るが、メンバーの中心は道府県警から派遣された捜査員。同庁は4月、地方から受け入れる人員を28人から46人へと約1.6倍に拡大。全道府県警から1人ずつ捜査員の派遣を受け入れる形とした。同庁幹部は「捜査の迅速化に加え、地元に戻った後、学んだノウハウを生かすこともできる」と話す。
初動捜査に必要な情報の照会先となる大手金融機関やプロバイダー事業者は、首都圏に本店や本社を構えていることが多い。全国の事件を警視庁が一元的に照会することで、道府県警の捜査員が首都圏に出張する手間や費用を軽減することができる。
初動対応を一元的に警視庁が担う仕組みは2011年に始まった。サイバー犯罪は増加傾向が続いており、ネットバンキングを使った23年の不正送金額は約87億円と過去最悪を記録した。
同庁に寄せられる捜査依頼は少なくとも年間数千件に上る。同庁幹部は「捜査班の重要性は高まっている」と強調した。
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