政権交代へ何が必要か=立民代表選前に識者らに聞く(1)
◇禍根断ち立・国合流を=中北浩爾・中央大教授
―立憲民主党代表選のポイントは。
自民党総裁選に勝る勢いを見せられるかが課題だ。岸田文雄首相が総裁選不出馬を決め、「疑似政権交代」が起きることになる。自民内では出馬に向けた動きも複数出てきているが、立民代表選は動きが極めて低調だ。中堅・若手の人材も薄く、現状は自民との差を感じさせる。
―どのような候補に期待するか。
本気で政権を担える人、経験を積んでいる人が出るべきだ。世代や性別の多様性はある方がいいが、立候補者は多くても4人程度ではないか。国会議員の推薦人20人は至難の業だ。自民との規模差を考慮すれば10人程度にすべきだった。
―予想される論点は。
政権を取り、運営するための枠組みをどう考えるかだ。国民民主党、連合と結束することが先決だ。共産党との協力に限界があることは東京都知事選で如実に示された。戦略を考え直さなければ政権は取れない。
―野党連携はどうあるべきか。
国民との合流を考えるべきだ。2003年の旧民主・自由両党の合併で二大政党化が進んだ結果、09年に旧民主が政権を取った。今回も合流がなければ政権には届かない。禍根は残っているかもしれないが、全部水に流して一緒になるべきだ。
―政策面で必要なことは。
安心して政権を託せる政策を具体的に出すことが必要だ。外交・安全保障政策では現実的な路線が求められる。他方、独自の政策として社会保障や環境政策、ジェンダー平等などの「得意分野」を打ち出すことが重要だ。
―英国の政権交代と比較した日本の政治状況をどう考えるか。
選挙制度が違うため一概には言えないが、英労働党は中道に軸足を移し、経済成長を訴えて政権を取った。派手な政策はあまりなかったが、安心感を与えた。日本も生活が苦しく、基本的には与党に不利な状況だ。立民もまずは中道化が必要だ。
―次期代表に求められることは。
強力なリーダーシップだ。何が何でも支えてくれる議員のグループを作らなければならない。勝てば論功も必要だ。論功は悪く言われがちだが、応援してくれた人をポストで処遇するのは当たり前だ。代表選は政策論争の場でもあるが、強いチームを作る機能も持っている。
[時事通信社]
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