南海トラフ情報、発信検証へ=政府「過剰反応招いた」
史上初の南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)の終了を受け、政府は国民への注意の呼び掛けが適切だったか検証する方針だ。一部の地域で宿泊施設のキャンセルが相次ぐなど、政府が想定していない反応を招いたとの反省からだ。
岸田文雄首相は15日、松村祥史防災担当相ら災害担当者と首相官邸で協議し、「一連の対応や社会の反応を振り返り、国民への呼び掛け要領など運用面で不断の改善を図る」よう指示した。
臨時情報が発表された8日、首相は官邸で記者団の取材に応じ、国民に向けて「日ごろからの備えを再確認し、地震が発生したらすぐに避難できる準備を行ってほしい」と発信。一方、林芳正官房長官は記者会見で、今回の臨時情報は「巨大地震警戒」よりレベルが下の「注意」だと強調し、国民に冷静な対応を要請した。
首相は9日に記者団の前に再度立ち、「国民には情報の性格をよく理解し、旅行、帰省などを含めて社会経済活動を継続してほしい」と強調。しかし、実際には、三重、和歌山、徳島、愛媛、高知、宮崎各県などで宿泊のキャンセルが例年より増え、物資の買い占めなども起こった。徐行運転や一部運休に踏み切った鉄道会社もあった。
官邸関係者は「できることはやったが、一部で過剰な反応があった」と課題を口にする。政府の発信が分かりにくかったとの指摘に加え、首相が外遊を土壇場で取りやめたことが影響したとの見方も政府関係者の間では出ている。
首相との協議後、松村氏は記者会見で「初めての臨時情報発表だったので、国民には戸惑いもあったと思う」と分析。「(内閣府の)ワーキンググループで国民への周知のありようを議論する。今後の対応に生かしていく」と強調した。
[時事通信社]
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