広陵の高尾、圧巻の九回=ピンチで連続奪三振―高校野球
ここぞの場面でぐっとギアを入れ、抑える姿はまさにエースだった。広陵の高尾が古豪熊本工相手に1失点完投。「勝ててほっとしている」。マウンド上と変わらず、淡々と喜んだ。
何度も走者を背負ったが、外角中心の配球で打たせて取った。味方打線は七回に逆転。最少リードで迎えた九回の投球は圧巻だった。遊撃手の失策と安打、犠打で1死二、三塁のピンチ。サヨナラ負けもあり得る状況で「絶対にバットに当てさせない」と気合を入れた。
山口悠を外角球で追い込み、この日最速となる146キロの直球を内角いっぱいに決めて見逃し三振。続く代打の山口光は鋭いスプリットを振らせて3球で片付けた。
4強に進んだ昨年春の選抜大会から背番号1を背負い、4季連続の甲子園出場。過去の強豪校との対戦では、粘りながらも終盤に崩れる展開が多く、「1点の厳しさを学んだ。ああいう(悔しい)思いはしたくない」。その気持ちが最終回の投球につながったという。
集大成となる今大会。1人で背負いがちだったこれまでとは違い、投手層は厚くなった。「自分が崩れたとしても山口、堀田という良い投手がいる。楽な気持ちで投げている」。仲間を信じ、気負うことなく頂点を狙う。
[時事通信社]
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