息合わせ、華麗に舞う=初出場ペア―AS・比嘉、佐藤選手〔五輪〕
アーティスティックスイミング(AS)デュエットの比嘉もえ選手(16)=井村ク=と佐藤友花選手(22)=ジョイフルAC。五輪初出場同士のペアは息の合った舞いを見せたが、メダルには届かなかった。
比嘉選手は広島県出身の高校2年生。小学3年から中学3年まで地元水泳クラブで指導した片山満津芳さんによると、繰り返しが多い地味な練習にも黙々と取り組み、「先生見て、これでいい?」などと、よく質問をした。
明るく前向きで、負けず嫌いな一面もあったという。片山さんは「『もえだったら、できるで。やらへん?』と声を掛けると、絶対に火がつく。必ず応えてくれる子だった」とほほ笑む。
小学5年で全国大会を制した比嘉選手。片山さんは「周りから『器用でなんでもできる子』と思われていたが、全部あの子が努力し、課題を乗り越えてきた結果」と語る。
佐藤選手は茨城県出身で、小学1年の時にASを始めた。6年間指導した浜川俊恵さん(72)は「練習には休むことなく参加し、真剣に打ち込んでいた。意志が強くカラッとした子」と話す。
東京五輪では補欠登録だった。ふてくされたように見えた佐藤選手に対し、浜川さんは「しっかりやってこい」という意味を込め、「これが無くなるまで帰ってこないで」と鼻に着けるノーズグリップを12個渡した。しっかりと受け取った佐藤選手の表情に、「覚悟が決まってるんだな」と確信したという。
「くよくよしても仕方がない。今本当に何をすべきか考えたほうがいい」。大会前、パリ五輪で補欠になった後輩に、佐藤選手が掛けた言葉だ。浜川さんは「補欠の苦しみが分かるからこそ」と語り、まな弟子の成長を喜んでいた。
[時事通信社]
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