苦手の馬術で勢い=佐藤、入念な準備実る―近代五種〔五輪〕
トップを取るという強い気持ちがあった。近代五種男子の佐藤は、決勝進出が確実な状況でも、最後の射撃・ランで力を緩めなかった。「首位なら注目されて競技の普及につながる」と考え、右拳を振りかざして大歓声を浴びる。「こんなに気持ちのいいことは一生ない」と笑った。
最初の馬術で勢いづいた。コースの入り組んだ部分では、障害に対して真っすぐ進入することを心掛けた。丁寧な騎乗で減点なしの満点。「これで乗った。誰も自分を止めることはできない状況に入れた」。他の種目も一気に駆け抜けた。
苦手な種目だからこそ、入念に準備した。近代五種の馬術で乗る馬は抽選で決まる。競走馬の育成などで有名なノーザンファームの協力を仰ぎ、今春は欧州馬に似た特徴の馬で特訓。五輪に向けた事前試乗で撮影された全頭の動画も見てもらい、助言を受けた。青森山田高を卒業後に競技を始めた当初は落馬続きで、「落ち方がうまくなったね」と言われた30歳は、「馬が楽しく跳べるよう意識した」と胸を張る。
1912年ストックホルム大会から始まった伝統競技で、日本勢は過去に入賞さえない。「初のメダルを目指し、ゴールテープを切るまで我慢勝負。死ぬ気で戦いたい」。112年の歴史に、名を刻めるか。 (時事)
[時事通信社]
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