中間貯蔵、拭えぬ懸念=核燃サイクル停滞、「永久保管」の恐れ
原発から出た使用済み核燃料を一時保管する青森県むつ市の中間貯蔵施設が事業開始へ動きだした。使用済み燃料が全国の原発で貯蔵容量の8割までたまる中、電力各社は原発稼働を続けるため中間貯蔵施設に活路を求める。ただ、使用済み燃料を再利用する「核燃料サイクル」は停滞しており、地元では「永久保管」されることへの懸念が拭えない。
核燃サイクルは、使用済み燃料からウランとプルトニウムを取り出し再び発電に使う流れで、資源の乏しい日本は実現に期待を寄せてきた。しかし、要の再処理工場は稼働のめどが立たない。日本原燃が青森県六ケ所村で1993年に着工したが、完成延期を26回も繰り返す。
電気事業連合会によると、全国の原発で保管する使用済み燃料は6月末時点で1.6万トン超。東京電力ホールディングスは、新潟県の柏崎刈羽原発から中間貯蔵施設に燃料を運ぶ予定だ。同原発7号機の貯蔵量は既に約97%に達する。関西電力では全原発が再稼働し、最短約3年で満杯になる原発があると試算。中国電力と共同で山口県上関町に中間貯蔵施設の建設を検討する。
再処理後に残る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場も未定だ。北海道の寿都町と神恵内村、佐賀県玄海町で候補地選定のための調査が進むが、両知事らが反対を表明しており、難航が想定される。
中間貯蔵施設の使用期間は燃料を搬入してから最長で50年とされている。核燃サイクルの機能不全が続けば、むつ市での保管が永久に続く恐れがあり、住民らは不安を募らせている。
斎藤健経済産業相は、燃料を六ケ所村の再処理工場に搬出することを想定し、具体的な検討を進めると青森県知事に約束した。斎藤氏は2日の閣議後記者会見で、核燃サイクルには「その輪を構成するすべての関係施設について着実な稼働を進めていくことが必要だ」と強調した。
[時事通信社]
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