2024-08-07 15:41スポーツ

長年の強化、パリで開花=外国人指導者が道筋―フェンシング〔五輪〕

フェンシング男子フルーレ団体で金メダルを獲得し、喜ぶ日本チーム。(左から)敷根崇裕、永野雄大、松山恭助、飯村一輝=4日、パリ

 競技の本場フランスで、「侍の国」の剣士たちが躍動した。4日まで行われたフェンシングで日本勢が金2、銀1、銅2の計5個のメダルを獲得。連日「史上初」の吉報が舞い込み、過去の五輪で獲得した通算3個のメダル数を1大会で軽く上回った。
 時間をかけてつくり上げた強化体制が、大輪の花を咲かせた。特に重視してきたのが外国人指導者の招聘(しょうへい)。欧州との差を埋めるには、本場の知見を持った人物に頼るのが一番の近道。2000年代以降、日本協会は欧州やアジアから次々と有力指導者を招いて各種目の強化を一任してきた。
 彼らの持つ最新の情報や人脈も大きな強み。エペの選手らはウクライナ人のゴルバチュク・コーチのつてで、欧州各国で強化合宿を行い、ライバルと剣を交える機会が増えた。フルーレ、サーブルのフランス人コーチは、五輪前の事前合宿地の選定でも助けになった。強化費は限られているが、青木雄介強化本部長は「そこに投資しないと勝てない」。優先すべきことを見極めて、継続的に強化を進めた。
 東京五輪前には味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)にピスト(競技場)30面が整備された。種目間で場所を譲り合うことなく、競争意識を促しながら練習に打ち込める施設も飛躍の礎となった。男子フルーレの松山恭助(JTB)は「世界一と言っても過言ではない環境だと思う」と話す。
 有望選手を10代の頃からNTCでの練習に参加させ、国際大会へ積極的に派遣。今大会の代表18人には、世界ジュニア・カデ選手権での上位入賞経験者が多い。若い時から世界トップレベルを経験し、外国勢に気後れすることもなくなった。
 フランスやイタリアに匹敵するフェンシング大国であるロシアが不参加という要素もあり、「今回は出来過ぎ」(青木氏)の面もある。一方でパリ五輪の代表選手の多くは、08年北京五輪で太田雄貴が日本勢初のメダル(銀)を獲得した影響を受けた世代。同様にパリでの大躍進が今後の選手の道しるべとなれば、強豪国として定着できる期待が持てそうだ。 (時事)
[時事通信社]

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