「勝てる体操」師の思い=鍛えた着地、6位入賞―平行棒・谷川選手〔五輪〕
体操男子団体総合金メダルに貢献した谷川航選手(28)=セントラルスポーツ=が種目別決勝の平行棒に出場し、6位入賞した。恩師に着地の基礎をたたき込まれて正確さを身に付け、決勝でもピタリと決めて見せた。
小、中学時代を指導した健伸スポーツクラブ(千葉県船橋市)代表の倉島貴司さん(56)は大会審判を30年ほど務めている。いい演技をしながら、着地に失敗して敗退する日本選手を間近で見てきた経験から、「着地を止めないと世界で勝てない」と痛感。練習の重点を、演技の「締め」に置いた。
「着地を止めた方が勝つ可能性はぐんと上がるよ」。そう説き続け、空中感覚を身に付けさせるため、トランポリンで1時間、跳躍を続けさせたり、跳馬の台から宙返りして飛び降りる練習を、着地に10回成功するまで繰り返させたり。床に敷いたスポンジマットはすぐにへたり、ブルーシートでぐるぐる巻きにして補強した。
特訓は高校時代に実を結ぶ。船橋市立船橋高に進んだ谷川選手は試合で着地を止めに止め、いつしか「着地王子」と呼ばれるように。当時監督だった神田真司さん(65)は「えらい着地に強い子だなと思った」と振り返る。
一方、神田さんは「不器用」とも感じていたという。「みんなが1年生の夏にできるようになる技を覚えるのに、冬までかかった」。だが、谷川選手は時間さえあれば、どんな技も確実に身に付けることができた。
東京五輪は団体総合に出場し銀メダル。今大会の団体では平行棒とつり輪などに出場し、金メダルに寄与した。
[時事通信社]
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