2024-08-05 09:34スポーツ

ウクライナにささげる金=マフチフ、希望の象徴に―陸上〔五輪〕

女子走り高跳びで優勝し、ウクライナ国旗を手に歓声に応えるヤロスラワ・マフチフ=4日、サンドニ

 女子走り高跳びのマフチフはリュックの中にしまっていたウクライナ国旗を取り出し、高々と掲げながらマット上で跳びはねた。パリ五輪の個人種目で初の金メダルを母国にもたらし、「国のため、国を守る兵士のため、亡くなった国民のためのメダル」。重みをかみしめるように言った。
 7月に2メートル10の世界新記録を樹立。「重圧は考えないようにした」。試合中も笑みを浮かべ、夢舞台を楽しんだ。ただ一人、2メートル00まで全て一発で成功。それより高いバーは越えられなかったが、試技数差で競り勝った。
 ロシアのウクライナ侵攻が始まった2022年2月、爆撃音で目覚めた。戦火を逃れ、国外を拠点に活動。家族はウクライナ東部ドニプロで暮らし、友人は紛争の最前線で戦っている。「このことを忘れることはできない。平和を望んでいる。強く戦い続けることを示す」。祖国を背負い、力強く宙を舞った。
 昨夏の世界選手権で初優勝。五輪も制し、22歳にして主要国際大会のタイトルを全て取った。「可能性は無限大。世界記録を更新したいし、国のためにたくさんのメダルを獲得したい」。母国を照らす希望の象徴のような存在になっている。 (時事)
[時事通信社]

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