「10年で1万時間」世界への道=ドライブ磨いた右利きのサウスポー―卓球・早田選手〔五輪〕
銅メダルを獲得した卓球女子シングルスの早田ひな選手(24)=日本生命。「10年で1万時間」の練習をモットーとする指導者の下で球を追い掛け、教わった強打を武器にサウスポーのエースに成長した。3位決定戦で勝利が決まると、その場に座り込んで顔を両手で隠し、泣き崩れた。
姉の影響で4歳から「石田卓球N+」(北九州市)に通い、代表の石田眞行さん(71)と妻千栄子さん(71)の薫陶を受けた。利き手が右で、右打ちの練習をしたが、利き足は左だったためフォームが安定せず、千栄子さんの判断で早々に左打ちに変えた。
眞行さんは「継続する能力はずばぬけていた」と振り返る。牛乳を飲めと言えば毎日1リットル飲み、ランニングを指示すれば毎日3キロを走る。早田選手は雪が降る日も走り、「休めと言っても休まないからこちらが困った」と苦笑する。
石田夫妻は1988年に教室を立ち上げて以来、北京五輪、ロンドン五輪に出場した岸川聖也さん(37)ら強豪選手を育ててきた。年間計1200~1300時間の練習を行うチャンピオンコースは、世界選手権を何度も制した故荻村伊智朗さんから聞いた「世界を狙うには10年で1万時間の練習が必要」という言葉から誕生したという。
早田選手も小学校に上がった頃から中学2年まで、チャンピオンコースで練習に励んだ。毎日の練習で夫妻が磨きに磨いたのが、球に上回転をかける強打のフォアドライブだ。眞行さんは「10年後、中国選手に勝つためにドライブの技術を徹底させた」と話す。
早くから世界を見据えた練習は実を結び、中1、2の全国中学校卓球大会を連覇。中2の途中からは、夫妻の息子で今も専属コーチを務める大輔さん(44)に師事し、全日本選手権シングルスを3度制するなど飛躍を遂げた。
[時事通信社]
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