駐日韓国大使インタビュー要旨
韓国の尹徳敏駐日大使のインタビュー要旨は次の通り。
【着任から2年】
着任する際、尹錫悦大統領に「一日も早く、一番良かった時代に対日関係を回復したい」と言われた。私はシャトル外交の再開など五つの目標を立てたが、1年もたたないうちに全部できた。韓日関係は完全に正常化した。
もう少し日本側が呼応してくれれば、後戻りしない韓日関係になる。歴史認識の問題で、日本も韓国を後押ししてほしい。
【国交正常化60年】
お互いに(首脳が)国賓訪問できればいい。ロ朝の軍事同盟、北朝鮮の核武装、台湾海峡の問題、米国の孤立主義、こうした(懸案の)中で韓日が昔のように対立することは、互いにとって損失だ。関係改善を後戻りさせないよう制度化し、入国手続きの簡素化など関係改善の恩恵を国民が実感する措置を準備する必要がある。新たな宣言をつくって、新たなモメンタム(機運)を生み出すことが必要だ。日米豪印4カ国の「クアッド」など多国間の枠組みで協力して、インド太平洋の平和と安定に貢献できることもたくさんある。
いろいろな場で当たり前のように述べられてきた歴史認識がある。あの時はできて、今はできないというのはおかしい。(日本が)歴代政権の認識を継承するのが非常に重要で、それを(新宣言で)再確認すればいい。
【トランプ米政権の可能性】
韓日の協力が非常に大事になる。トランプ氏は(2018年の)米朝首脳会談後、在韓米軍撤収に言及した。韓米合同演習も中止した。米国がこの地域にしっかりコミットするよう、韓日が協力することが大事だ。北朝鮮の狙いは、インド、パキスタン、イスラエルのように米国が黙認する、制裁のない核保有国になることだ。そのために取引しようとするだろう。韓日米が協力し、最終的な目標は非核化で、それなしに制裁を解除できないとはっきりさせるべきだ。
【日朝関係】
北朝鮮がいきなり、前提条件なしで日本の首相を平壌に招待したいと提案する可能性がある。日朝の会談が朝鮮半島の平和と非核化のためになるなら(韓国は)反対しない。北朝鮮政策は韓米日が足並みをそろえるべきで、非核化とこの地域の平和、安定を損なわないようにやってほしい。日本人拉致問題はぜひ解決してほしいが、北朝鮮が拉致問題で誠意を少し見せながら、米朝間の仲裁役を日本に求める可能性もあるのではないか。
【日米韓安全保障協力】
レーダー照射問題を韓日が話し合いによって解決したことは非常に大きい。(日米韓安保協力の活性化は)韓日関係改善がもたらした大きな地域秩序の変化だ。3、4年前にはなかった。(トランプ氏が大統領になっても)韓日米の協力関係を捨てるとは思えない。
[時事通信社]
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