失意乗り越えた素根=古傷に泣くも「戦えてよかった」―柔道〔五輪〕
敗者復活戦を棄権した素根は、つえを突きながら報道陣の前に現れた。「自分が望んだ結果を出すことはできなかったが、この舞台で戦えてよかった」と気丈に話した。
古傷の左膝に不安を抱えたまま臨んだ。準々決勝は試合途中に「膝がパキッとなって、そこから踏ん張りが利かなかった」。延長戦の末に抑え込まれて一本を取られ、「そこも含めて自分の弱さ」と唇をかんだ。
連覇を目指した3年間は苦しいことが続いた。膝の手術を経て昨年の世界選手権で優勝。しかし、すぐには五輪代表に選出されなかった。プライドが傷つき、約2カ月も練習ができなかった。
在学する日大で素根をサポートする北田監督は「今まで見てきた五輪王者で一番、繊細なガラス細工」と語る。落ち込む素根に伝えたのは「ずうずうしくなればいい。そうでなかったら戦えない」。今年に入っても再び膝を痛めるなど苦しみは続いたが、心は折れず、女王の意地で再び五輪の舞台に立った。
「難しい大会だった。膝をちゃんと治して、思い切り柔道がしたい。この経験を糧に強くなりたい」。24歳。失意の中で出てきた前向きな言葉に彼女の精神的な成長が感じられた。 (時事)
[時事通信社]
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