クリーンエネルギー計画始動=風力発電など拡大へ―英労働党政権
【ロンドン時事】7月初めの英総選挙で政権交代を実現した労働党のスターマー政権が、公約の一つである再生可能エネルギー促進に向けたプロジェクトを始動させた。エネルギー安全保障の確保を目指し、要となる電力公社「グレート・ブリティッシュ(GB)エナジー」を新設するなど、「緑の転換」政策を着々と実行に移している。
「クリーンエネルギー超大国」を志向する労働党政権は、2030年までに陸上風力による発電量を2倍以上、太陽光を3倍、洋上風力を4倍に引き上げる計画を掲げる。陸上風力に関しては、保守党政権で続いた新規建設の実質的禁止の撤回を早々に表明。洋上風力についても7月25日、領内の海底を管理するクラウン・エステート社とGBエナジーが開発用地の利用で合意したと発表した。
スコットランドに拠点を置くGBエナジーは、石油・ガス企業に対する超過利潤税を主な財源に運営され、公金による当初予算は83億ポンド(約1兆5800億円)。クリーンエネルギー計画の中心的役割を担う。
労働党は選挙公約で、ロシアのウクライナ侵攻に伴う燃料価格の高騰が家計を直撃している現状を踏まえ、化石燃料脱却とエネルギー自立の必要性をうたった。ミリバンド・エネルギー相はBBCのインタビューで「化石燃料依存を脱し、クリーンエネルギーに切り替えることが、エネルギー安保を確実にする道だ」と強調。計画が軌道に乗れば「各世帯の電気料金に(良い)影響が出始める」とし、実現を急ぐ考えを示した。
一方、最大野党となった保守党は「(税金が使われる)GBエナジーは財政のブラックホールだ。家計を助けるのではなく、さらなる負担をもたらす」(コウチーニョ・影のエネルギー相)と批判、政策の効果に疑問を呈した。
[時事通信社]
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