上半期の食品輸出、1.8%減=4年ぶり縮小、中国水産物禁輸で
農林水産省は2日、2024年1~6月の農林水産物・食品の輸出額が前年同期比1.8%減の7013億円だったと発表した。昨夏以降、東京電力福島第1原発の処理水放出を受け、中国が日本の水産物の輸入停止を続けていることが響いた。上半期の輸出額が前年を下回るのは、コロナ禍で世界経済が混乱した20年以来、4年ぶりだ。
中国向けは43.8%減の784億円と大幅な落ち込み。政府は年間ベースで25年に2兆円、30年に5兆円に伸ばす目標を掲げているが、最大の輸出先だった中国向けの減速で達成に黄信号がともった。同省は「あらゆる政策努力をしていきたい」(幹部)としている。
中国向けでは禁輸対象となっているホタテ貝やナマコに加え、景気の減速を受けてウイスキーも減少した。日本の一部地域の水産物輸入を止めている香港も10.5%減の1032億円だった。
一方、中国と香港以外への輸出は14.3%増と好調。健康志向の高まりで日本食が注目を集めたことや円安が追い風となった。
このうち米国向けは19.9%増の1156億円。日本政府が輸出先の多角化を進めるホタテ貝のほか、日本酒などが伸びた。中国に代わるホタテ貝の有力加工拠点に浮上しているベトナム向けも22.0%増の401億円と大きく伸びた。台湾向けも牛肉やリンゴが伸び、9.2%増の736億円となった。
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