兵庫~新潟沖の海域活断層評価=推定M7以上、25カ所―発生確率は後日公表・地震調査委
政府の地震調査委員会(事務局文部科学省)は2日、日本海側の兵庫県北方沖から新潟県上越沖にかけて分布する25カ所の海域活断層の位置や長さ、推定される地震の規模(マグニチュード=M)を公表した。長期評価の一部だが、今後30年以内の地震発生確率は来年前半までに追加で公表する。今年1月の能登半島地震(M7.6、最大震度7)を受け、取り急ぎまとめた内容を示し、沿岸自治体などの防災に役立ててもらうことにした。
評価対象は、長さ20キロ以上で過去に地震が繰り返し起き、今後も起きるとみられる25カ所の活断層・断層帯。いずれも地震発生時の規模はM7以上と推定され、沿岸地域の揺れは震度6弱以上、津波の高さは約1メートル以上になる可能性がある。調査船から音波で海底下の構造を網羅的に調べた。
能登半島地震は「能登半島北岸断層帯」(長さ94キロ程度)を中心として、同時にその西側の「門前断層帯」(同38キロ程度)の一部がずれ動いて起きた。東側の「富山トラフ西縁断層」(同61キロ程度)の一部も動いた可能性がある。
今回推定した地震の規模は断層の長さだけに基づき、最近起きた地震の影響を考慮していない。能登半島北岸断層帯で起きる地震の規模はM7.8~8.1程度とされたが、次に起きる地震の規模や発生確率は今後検討する。平田直委員長(東京大名誉教授)は、能登半島と沿岸海域の地震活動は「2020年12月から継続している」と指摘した上で、「強い揺れや津波に十分注意してほしい」と話している。
断層の評価は、国土交通省と文科省、内閣府の調査検討会が日本海沿岸で最大級の津波を起こす大地震の震源断層を調べて14年に公表した報告書とおおむね同じ。ただし、若狭湾近くの「沖ノ礁北方断層」(同25キロ)と「浦島礁北方北断層」(同40キロ)、「浦島礁北東断層」(同23キロ)は新たに活断層と認定した。地震が起きた場合の規模はそれぞれM7.2程度、M7.5程度、M7.1程度と推定される。
日本海側の海域活断層の長期評価は、22年に九州沖と中国沖について公表したのが最初。東北沖や北海道沖も今後まとめて公表する方針。
◇兵庫県沖~新潟県沖の海域活断層
名称 地震の規模 長さ(キロ)
1 沖ノ礁北方断層 M 7.2 25
2 経ケ岬沖断層 M 7.4 36
3 小浜沖断層 M 7.4 33
4 浦島礁北方北断層 M 7.5 40
5 若狭海丘列北縁断層 M 7.0 21
6 越前岬西方沖北断層 M 7.5 38
7 浦島礁北東断層 M 7.1 23
8 ゲンタツ瀬・大グリ南東縁断層帯 M 7.7 52
9 加佐ノ岬沖断層 M 7.2 25
10 羽咋沖東断層 M 7.3 30
11 羽咋沖西断層 M 7.0 21
12 内灘沖断層 M 7.3 29
13 海士岬沖東断層 M 7.0 21
14 門前断層帯 M 7.5 38
15 沖ノ瀬東方断層 M 7.4 35
16 能登半島北岸断層帯 M 7.8~8.1 94
17 輪島はるか沖断層 M 7.1 24
18 能登半島北方沖断層 M 7.3 31
19 舳倉島近海断層帯 M 7.8 64
20 七尾湾東方断層帯 M 7.6 43
21 飯田海脚南縁断層 M 7.3 31
22 富山トラフ西縁断層 M 7.8 61
23 上越沖断層帯 M 7.8~8.1 86
24 名立沖断層 M 7.3 31
25 上越海丘東縁断層 M 7.2 25
(注)政府・地震調査委員会公表
M(マグニチュード)と長さはいずれも程度
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