師の励ましでひのき舞台へ=我慢の日々、メダルに一歩及ばず―柔道・高山選手〔五輪〕
初の五輪に挑んだ柔道女子78キロ級、高山莉加選手(29)=三井住友海上。これまで主要大会で代表入りを逃し、何度も唇をかんだ。恩師の励ましを支えにチャンスをつかみ、ようやくひのき舞台に立ったが、3位決定戦で敗れ、メダルにあと一歩届かなかった。
幼少期、試合に負けて大泣きしても、翌日にはけろっとしていた。小中時代を指導した柔心館道場(鹿児島県曽於市)の西郷昌隆館長(54)は「気持ちの切り替えは天性のもの。後に引きずらなかった」と振り返る。
高山選手自身、「きつかった」と言うほどの練習量。1年先輩で、後に2度世界一に輝く志々目愛さん(30)や男子選手と勝負がつくまでの乱取り稽古を毎日行い、実力を蓄えた。
人並み外れたパワーを有したが、進学先の鹿児島南高では、なかなか結果が伴わなかった。当時指導した鮫島将太朗さん(38)の目には、独り善がりの柔道をしているように映ったという。
「チームのため、応援してくれる親や西郷先生のために頑張らないといけないよ」。そう言葉を掛けると、一念発起。柔道への姿勢を見直し、高3のインターハイで優勝を果たした。
実業団入り後は着実に実績を残した。だが、世界選手権や五輪などの主要大会は、高校の先輩で東京五輪金メダルの浜田尚里選手(33)らに阻まれた。長く代表入りを逃し、周囲に「柔道をやめたい」と漏らし、西郷さんにも「泣きの電話」が幾度もあった。
「あんたがやる間はみんな応援する」。西郷さんの励ましを受け、昔と同じように気持ちを切り替え、捲土(けんど)重来を期した高山選手は、2022年の国際大会で高い壁だった浜田選手に勝利し、パリへの道を切り開いた。
[時事通信社]
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