歴史的円安、転換点か=日米金融政策、逆方向に
外国為替市場で急速に円高・ドル安が進んでいる。日銀が追加利上げを決めた一方、米国の利下げ観測が高まっているのが背景だ。金利差縮小が意識され、1日には円が一時1ドル=148円台半ばまで上昇。日米の金融政策が逆に進む方向性が鮮明になり、歴史的な円安の転換点になるとの見方もある。
日銀は7月31日の金融政策決定会合で追加利上げを決めた。植田和男総裁は会合後の記者会見で、「現在の実質金利は極めて低い水準」と指摘し、「経済・物価情勢に応じて引き続き政策金利を引き上げる」と強調。市場では、「年内にもさらに利上げする」(東短リサーチの加藤出チーフエコノミスト)との見方が広がった。
米国では同日、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを検討する可能性に言及。円買い・ドル売りに拍車が掛かった。
円は2022年から下落基調が強まり、今年7月3日には161円94銭と約37年半ぶりの安値を付けた。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、「日米の金融政策が逆方向に動くことで、歴史的な円安は修正局面に入る」と予想。年末に140~145円へ値を上げ、その後も年間10~15円の緩やかなペースで円が上昇するとみる。
ただ、7月中の値上がり幅は10円以上と上昇ペースは極めて速い。「円買い・ドル売りの動きは短期で終わる」(外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長)とみる市場関係者も少なくない。みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミストは、日米の金利差は市場の見通しほど縮まらないと想定し、「今後1年で140円を超える円高になるのは難しい」と話している。
[時事通信社]
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