2024-08-01 17:24スポーツ

悔しい銀、次の糧に=柔道・村尾、「殻破った」2年前〔五輪〕

柔道男子90キロ級決勝、ビデオ判定で相手の技ありが認められ、敗れた村尾三四郎=7月31日、パリ

 初めての大舞台で鮮烈な輝きを放った。柔道男子90キロ級で23歳の村尾が銀メダル。決勝で繰り広げた東京五輪王者のベカウリ(ジョージア)との息詰まる勝負に、フランスの観客の声援が響いた。
 果敢に攻め続けて先に技ありを奪ったが、最後は技を返される形となり、ビデオ判定の末に敗北。会場に響き渡った大きなブーイングは、村尾の戦いぶりに向けた称賛の裏返しだった。
 日本人の父と米国人の母を持ち、日本で生まれ育った。神奈川・桐蔭学園高で実績を挙げ、鳴り物入りで東海大へ。東京五輪の代表争いに加わったが届かず、「自分はまだ戦う力がない」と受け入れた。
 練習量は人一倍多く、技の切れは抜群。一方で繊細な気質が災いする場面もあり、東海大の上水研一朗監督は「強さともろさが同居していた」。力の強い外国選手らにあっさり負けることもあった。
 転機は2022年の全日本学生優勝大会だった。主将だった村尾は国士舘大との決勝で、その年の全日本選手権王者だった斉藤立と対戦。6連覇を逃しそうな重圧の中、約80キロの体重差をはねのけ、延長戦で抑え込んだ。上水監督は、その日の激闘を機に本人が自信を持ち始め「必要以上に慎重だったところが消えた」とみる。
 村尾自身も「今までの自分だったら調子が良くないと全てが崩れていたが、立ち直って修正しながら勝てるようになった。殻を破った瞬間だった」という。
 初の五輪で金メダルを奪えなかった村尾は、「手の届くところでつかめなかった」と嘆いた。今回の悔しい経験も4年後を目指す上で大きな糧になりそうだ。 (時事)
[時事通信社]

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