2024-08-01 08:29スポーツ

苦しみ象徴したパリ=橋本、最後まで気迫―体操〔五輪〕

男子個人総合で金メダルを獲得し、喜ぶ岡慎之助(左)。右は橋本大輝=31日、パリ

 橋本は「新しい景色を見られて僕は幸せ」と、まず岡をたたえた。その後につないだ言葉は、あふれる涙でどんどんかすれていく。「連覇への意識はあまりなかった。けがからここまで戻り、この舞台で演技ができた。堂々とやり切れた」
 内村航平からエースのバトンを継ぐように、東京五輪は個人総合金メダルに輝いた。3年後のパリは、その後の苦しみを象徴するような時間だった。予選からミスが続き、金メダルに輝いた団体総合決勝でもあん馬で落下。鉄棒も技の難度を落とした。この日もあん馬で落ち、体力面の不安からか鉄棒は再び難度を落として実施した。
 世界トップレベルの演技構成を続けてきた代償か、東京五輪後は腰の疲労骨折などのけがに泣いた。痛恨だったのは5月の右手中指靱帯(じんたい)損傷。休養を強いられ、調整が大幅に遅れた。
 報道陣の前では初めてというほど感情をむき出しにし、「3年間、何も成長できなかった」と自分を責めた。ただ、それは正確ではないだろう。モチベーション低下や重圧、けがの全てを乗り越え、世界選手権では2022、23年に個人総合連覇。23年は日本を団体制覇に導いてきた。
 パリに来るまでは不安を表に出さず、「心を動かす演技がしたい」と繰り返した。連覇には届かないと分かっていても、最後の鉄棒で着地する瞬間まで気迫のこもった演技を貫いた姿は、多くの人の心に響いたはずだ。
 「また新しい自分をつくり出せるようにしたい」。2度目の五輪は、大粒の涙とともに幕を閉じた。 (時事)
[時事通信社]

男子個人総合決勝、鉄棒の演技をする橋本大輝=31日、パリ

最新ニュース

写真特集

最新動画