三菱UFJ、短プラ引き上げ=住宅ローン変動型も上昇へ
三菱UFJ銀行は31日、住宅ローンの変動型金利の基準となる短期プライムレート(短プラ)を現行の年1.475%から9月2日付で1.625%に引き上げると発表した。日銀の追加利上げを踏まえた措置で、引き上げは約17年ぶり。他の大手行も追随する見通しだ。住宅ローン契約者の約7割が利用する変動型金利も上昇に転じ、多くの世帯で利払い負担が増えることになる。
一方、預金金利の引き上げは、家計にプラスに働く。追加利上げで歴史的な円安が是正されれば、物価高が落ち着く可能性もある。
日銀は3月にマイナス金利政策を解除したが、大手各行は低位に設定してきた変動型住宅ローン金利の引き上げを見送った。政策金利となった短期金利の引き上げ幅が0.1%程度と小幅にとどまり、短プラを1.475%に据え置いたためだ。
今回、日銀が短期金利の誘導目標を「0.25%程度」に決めたことで、三菱UFJ以外の大手行も短プラの引き上げを「8月中にも決める」(関係者)見通しだ。
現在、変動型の適用金利は最低水準が0.3~0.4%程度。9月に短プラを上げた場合、契約済みのローンは10月に適用金利が見直され、来年1月から利払い負担が増加するケースが多い。日銀の植田和男総裁は31日の記者会見で、住宅ローンの負担増について「賃金上昇が続くとの見通しの中で判断した」との見解を示した。
一方、大手各行は普通預金金利も現行の0.02%から引き上げる見込み。三菱UFJなどメガバンク3行は同日、0.10%への引き上げを発表した。
預金金利の上昇により、家計全体ではプラスになるとの見方もある。日本総合研究所は、長期金利が5年かけて2%まで上昇した場合、家計が受け取る利息収入は年8.7兆円増加すると試算。住宅ローンなどの利払い負担が増える分の年4.4兆円を上回り、差し引き年4.3兆円の恩恵が及ぶと分析している。
[時事通信社]
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