常連ボランティア、身一つで能登へ=広島出身佐渡さん「支援足りない」
「支援の手が全然足りない。僕がやらないで誰がやるのか」。東日本大震災以降、数々の自然災害でボランティア活動をしてきた広島市出身の佐渡忠和さん(72)は6月、能登半島地震の被災地、石川県輪島市に移住した。発生から7カ月を迎え、薄れる関心と支援の先細りに危機感を募らせている。
元日の地震発生を受け、佐渡さんは即座に車で能登に向かった。当初は過去の自然災害同様、「通帳の預金がゼロになるまで」と思っていた。だが、「今までの災害で経験がないくらいボランティアが少ない。腰を据えた支援をしないと駄目だ」と覚悟を決めた。
21年間営んだ広島市内のお好み焼き店を6月にたたみ、蓄えから輪島市内の空き屋を30万円で購入。軽トラック3台を確保して被災家屋の片付けを担う私設ボランティアセンターを同市町野町曽々木地区に構えた。
広域避難していた住民が仮設住宅に入居するなどして地域に戻っており、家の片付けの要望がなお多く寄せられる。一方、県内のボランティア数は、5月をピークに減少。「全然仕事が追いつかない。依頼には3、4週間待ってもらっている」と明かす。
7月最後の日曜日、佐渡さんの下で活動したボランティアは2人にとどまった。体力のある若手が足りていないといい、誰も来ない日は佐渡さん1人で活動する。
車の燃料代だけでも3日で1万円かかる活動資金が頭痛の種といい、生活資金も月6万円の年金のみ。復興には長い年月が予想されるが、「動けなくなるまでここで活動を続ける」と語る。
被災自治体によると、移住して復興支援に本腰を入れようという人は一定数いる。今年度に入り、珠洲市では十数件の移住相談があり、能登町の担当者も「一時的に支援活動に入った後、本格的に活動したいと考える人が増えている」と話す。ただ、住宅確保などの課題もあり、実際に移れた人はまだ少ないという。
[時事通信社]
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