政府、利払い費膨らむ恐れ=財政再建、国債の買い手確保急務
日銀が追加利上げと国債買い入れ減額計画を同時決定し、金融正常化へ大きく踏み出した。政府としては、今後も利上げが続いて長期金利の上昇圧力が強まれば、残高1000兆円を超える国債(借金)の利払い負担が重くのしかかることが懸念材料だ。自然災害や地政学リスクなど有事に備える財政余力を確保するためには、予算の見直しや歳出抑制を通じた財政健全化が急務となる。
財務省が4月に公表した試算によると、長期金利が従来の想定より1%上昇した場合、2033年度の国債利払い費は追加で8.7兆円必要になり、総額で30兆円を超える。24年度予算の主要項目と比べると、防衛費(約7.9兆円)や公共事業費(約6兆円)の4倍以上の規模を利子の返済に回すことになる計算だ。
政府の24年度一般会計予算は過去2番目の112兆円超。国債の償還や利払いに充てる国債費は過去最大となり、予算総額の約24%を占めた。今後、金利上昇による利払い費の上振れが加われば、政府の予算はより自由度が失われる。利払い費に充てるための国債発行という借金が借金を呼ぶ悪循環に陥る恐れもある。
日銀の国債購入に依存してきた政府にとっては新たな買い手の確保もカギとなる。財務省の有識者会合「国の債務管理に関する研究会」は6月の議論の取りまとめで、民間銀行には購入余地があるとし、「国債の安定消化に果たす役割は大きい」と期待を表明。満期までの期間が短い国債や、個人向け国債商品の拡充なども要請した。
財務省は「幅広い投資家層に国債を購入・保有してもらう努力は大事だ」(幹部)として、ニーズに応じた国債発行を進める考えだ。
[時事通信社]
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