48歳、メダルを決める走行=大岩、欧州で腕磨き悲願達成―馬術〔五輪〕
馬術の総合馬術団体で日本が銅メダルを獲得した。この競技での表彰台は1932年ロサンゼルス五輪の西竹一以来。92年ぶりの快挙にはチーム最年長、48歳の大岩義明(nittoh)の存在が大きかった。
大岩にとって悲願のメダルだった。「信じられない。やっとここまで来たという感覚がある」。長年、日本の総合馬術をけん引し、5度目の五輪でようやく願いをかなえた。
大学卒業後に一度は競技を離れたが、テレビ中継で2000年シドニー五輪の開会式を見て心境が変わった。「自分は一回も試すことをしていない。五輪を見るたび、何も試さずに終わったと感じて生きていくのは嫌だ」。単身で本場、欧州へ渡ることを決意した。
01年に渡欧。当初は言葉の壁に苦しんだ。何とかコミュニケーションを取り、アルバイトもしながらの生活。「修行という意味ですごくいい時期だった」。厳しい状況に身を置いて腕を磨いた。
13年に東京五輪開催が決まったのも追い風だった。多くの選手が欧州へ進出し日本のレベルが上がった。18年世界選手権で団体4位。メダルも現実味を帯び始めた。
しかし、東京での大舞台は悔しい結果に終わった。第2種目のクロスカントリー。スタート直前に馬が転倒してパニック状態に。完走できず団体は11位だった。
パリではその悔しさも胸に臨んだ。最終種目の障害飛越で日本の3人目として登場。6歳の息子も見守る中、ほぼ完璧に走行してメダルを確定させた。「東京のような終わり方はできない。何とかメダルをという気持ちだった」。3年前の悔しさを晴らし、ベルサイユで新たな歴史をつくった。 (時事)
[時事通信社]
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