ペゼシュキアン大統領就任=19年ぶり改革派政権―イラン
【イスタンブール時事】イランで28日、改革派ペゼシュキアン新大統領(69)が最高指導者ハメネイ師から認証を受けて就任した。ペゼシュキアン氏は欧米との対決路線を続けた保守強硬派ライシ前政権と異なり、国際協調の重視を訴える。核合意再建や経済制裁の解除に向けた欧米との対話実現が当面の焦点となる。
ペゼシュキアン氏は演説で「イランは世界と建設的な交流を持つ国であるべきだ。国民の期待と変革の必要性に応えることが政府の成功となる」と強調した。
改革派の大統領は、「文明間の対話」を掲げたハタミ師以来19年ぶりとなる。ペゼシュキアン氏は5日の決選投票で、保守強硬派候補を下し初当選。知名度は低かったが、制裁下の深刻な経済苦境や、現体制に閉塞(へいそく)感を募らせる市民の不満の受け皿として支持を集めた。
ペゼシュキアン氏は外交方針として「国益や経済発展、地域と世界の安定」を優先すると強調。「緊張緩和の努力を歓迎し、善意には善意で応じる」と主張する。前政権が接近した中国やロシア、新興・途上国「グローバルサウス」との友好関係強化は継続し、核問題で冷え込んだ欧州諸国との関係改善にも意欲を示している。
一方、対立する米国には「イランは圧力には応じない」とけん制。米国やイスラエルが警戒する核武装の意図を否定し、「米国は過去の誤算から学ぶべきだ」とイラン敵視政策の転換を求めた。
ただ、イランの国政の全権は反米強硬派のハメネイ師が握る。欧米への不信感が強いハメネイ師はペゼシュキアン氏の当選後、ライシ前政権の路線継続を勧めるなど過度の融和をけん制。ペゼシュキアン氏も「最高指導者の指針がわれわれを導く」と明言しており、新政権の外交がどこまで変化するかは不透明だ。
[時事通信社]
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