米、ガザ停戦でイスラエルに圧力=ハリス氏、外交でも存在感
【ワシントン時事】ハリス米副大統領は25日、訪米中のイスラエルのネタニヤフ首相と会談し、パレスチナ自治区ガザでの停戦合意を迫った。バイデン大統領の大統領選撤退に伴い、民主党の候補指名が確実視されるハリス氏は会談後、記者団に「戦争を終わらせる時だ」と訴え、外交面での存在感発揮に努めた。
連立政権を組む対パレスチナ強硬派の極右政党から圧力を受けるネタニヤフ氏は、戦闘継続の姿勢を崩していない。24日には米議会の上下両院合同会議で演説し、「どんなに時間がかかろうとも、勝利するまで戦う」と述べ、イスラム組織ハマス壊滅を公言していた。
これに対し、バイデン氏は同日夜、ホワイトハウスで大統領選撤退を国民向けに説明する演説で、残り任期の間に「ガザでの戦争を終わらせ、全ての人質を取り戻し、中東に平和と安全をもたらす」と強調。停戦実現を目指して取り組む考えを示した。
ガザ情勢を巡り、関係が冷却化したとされる両首脳だが、25日の会談冒頭ではネタニヤフ氏がイスラエル支持への謝意を表明し、バイデン氏が笑顔を見せる場面もあった。ただ、米側の発表によれば、バイデン氏は「可能な限り早期に交渉を成立させる必要性」を強調し、ネタニヤフ氏に停戦合意への歩み寄りを促したという。
一方、一連の会談で際立ったのが、ハリス氏の存在だ。ネタニヤフ氏との会談後に記者団の前に姿を現したハリス氏は「悲劇を前に目をそらすことはできない。私は沈黙するつもりはない」と強調。イスラエルが自国を守る権利を支持しつつ、ガザの人道状況への「深刻な懸念」を表明し、パレスチナに寄り添う姿勢を印象付けた。
ハリス氏はこれまで、バイデン氏とネタニヤフ氏との電話会談に「ほとんど全て」(米高官)同席。ガザ情勢を巡る立場は、バイデン氏とほぼ変わりないとされる。だが、バイデン氏の撤退表明後、初の外国首脳との会談の舞台で、バイデン氏との微妙な立場の違いを見せ、異なる指導者像をアピールした。
米ネットメディア「アクシオス」によれば、ネタニヤフ氏はハリス氏の発言に早速反発した。今後、ハリス氏が次期大統領候補としての足場をさらに固めれば、レームダック(死に体)化するバイデン氏に代わって米外交を主導し、国際情勢に新たな変化を生む可能性もありそうだ。
[時事通信社]
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