「歴史全容説明なら反対せず」=佐渡島の金山―韓国代表団アドバイザー
【ニューデリー時事】インドで開催中の国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会で、韓国代表団のアドバイザーを務める考古学者の韓敬九氏が26日までに、時事通信社の単独インタビューに応じた。日本が世界文化遺産に推薦する「佐渡島(さど)の金山」に関し、「歴史の全容を説明するなら反対しない」と語った。
韓氏は文化遺産研究が専門の元ソウル大教授。韓国ユネスコ国内委員会の事務総長を務めており、同国政府に対し昨年、金山の登録に反対するよう助言した。今回の世界遺産委でも、求めに応じてユネスコ韓国代表部大使に助言する立場という。
日本政府は、金生産が全て手作業で行われていた19世紀半ばまでの遺構を推薦している。これに対し韓氏は、明治時代以降も金生産は行われていたとして、「一部の時代だけ切り取るのは世界遺産条約の趣旨に反し、日本が提案する遺構の領域とも矛盾する」と指摘。戦時中における朝鮮半島出身者の「強制労働」の説明や展示がなければ「ユネスコの価値観と条約の精神を守るため、政府に反対してもらうしかない」と語った。
ユネスコの諮問機関は6月、金山で鉱業採掘が行われた全ての時期の説明や展示に取り組むよう日本に勧告した。韓氏は「(勧告に従って)歴史の全容を説明するなら、反対しない」と述べた。
一方、2015年に登録された「明治日本の産業革命遺産」について、長崎県の端島(通称軍艦島)などでの朝鮮半島出身者に関する説明や展示が不十分だと強調。「日本は約束を守っていない。世界遺産への登録は人類全体の遺産になるということ。日本はこのことを忘れ、自国のプライドばかり気にしているようだ」と疑問を呈した。
[時事通信社]
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